★薬膳ライターのキョウさん
薬膳ライターのキョウさんに、今頑張っている女性としてインタビューを行いました。
簡単な生い立ちをお願いします。
大学卒業後、大阪の広告会社にコピーライターとして入社しました。学生時代、広告業界には興味があったのですが、コピーライターの勉強はしたことがありませんでした。たまたま採用試験の結果でコピーライターの適性があるということで声をかけていただき、コピーライターの上司のもと、修行と仕事の日々が始まりました。主に食品や商業施設などたくさんのお仕事に携わることができました。
2人目の子どもの出産を機にフリーランスのコピーライターとして独立し、トータルで20年以上、文章を書くことを仕事にしています。現在は主に食やファッションのコピーライターとして、また薬膳ライターとして活動しています。
この仕事を始めたきっかけは何ですか?
薬膳に興味を持ったきっかけは10年以上前になります。長女を産んだ後、生理が戻らずホルモン治療を始めたのですが、どうしても体に気持ち悪さを感じてしまい止めることにしました。代わりに始めたのが、漢方薬と鍼治療。どちらもしばらく続けたおかげか無事に2人目を妊娠することができ、このとき漢方のすごさを実感しました。その後も家族が漢方薬でアトピー治療をしていたこともあって、わが家で漢方は身近な存在でした。
そんな中、料理冊子のお仕事で薬膳の記事を書くことになりました。薬膳の先生から「牛肉は血を作るから食べた方がいい」「麺は噛まずに飲み込んでしまうから、胃腸の調子が悪い時はご飯の方がおすすめ」こんな話を聞くうちに、「薬膳を学んでみたいな」と思うようになったんです。
薬膳を学ぶと決めると同時に、学んだ知識をライターとして役立てられないかとも考えました。そこで2年ほど前、薬膳の資格勉強を始めるにあたって自分のブログも立ち上げ、薬膳ライターとしての活動をスタートしました。
小さい頃からこの仕事に興味がありましたか?
直接は関係していませんが、つながっているなあと思うのは子どもの頃に食べていたものです。祖父母と一緒に住んでいたので、草餅やぜんざい、ふかし芋を作ってもらったのをよく覚えています。その味覚体験が今の自分の食生活に影響していると感じます。
ジャンクフードや不規則な食事など食の乱れが問題になっている現代ですが、食の乱れを正すことは食養生にも通じます。大人になってから食の乱れを直すことは難しいので、子どもの頃の食のあり方はとても大事だなと思っています。自分の子どもにもちゃんとした食を伝えたくて、おやつを手作りしたり、一緒に料理したりしています。そのおかげか、息子(小2)はひとりで出汁巻が作れるようになりました。
仕事内容について教えてください。
主にレシピ冊子や百貨店のファッションカタログ、企業サイトのコンテンツ記事のほか、薬膳のジャンルでは記事執筆、自分のブログで薬膳の記事を書く活動を中心に行っています。
ブログは「ナチュごよみ」というタイトルです。薬膳の勉強を始める時に何から手をつけていいかまったく分からかなったので、まずは薬膳の資格や勉強法など、自分が調べて実践したことから書き始めました。現在は「薬膳」という大きなテーマのもと、薬膳料理のお店のこと、自分の作ったお料理のことなど、幅広いジャンルで自分が興味を持ったことを書いています。
今ではたくさんの人に読んでいただいて、ありがたいことに「ほしい情報がたくさんある」と反響もいただいて、とてもうれしいなと思っています。
始めたばかりの頃の苦労話
薬膳の勉強を始めてすぐ、薬膳の専門用語の多さ、難しさに本当にどうしようかと焦りました。教科書を開いても「漢字が読めない・意味がわからない」という状態で、頑張って読んでもチンプンカンプン。少しずつ勉強し、薬膳学校のサポートのおかげで教科書の意味もわかるようになり、国際薬膳師という資格を取ることもできました。これから薬膳を勉強する人には「最初はつらいけど、諦めないで」と言いたいですね。
この仕事をしていて嬉しかったこと
何と言っても、ブログやSNSにメッセージをいただくことです。「キョウさんのおかげで薬膳の資格を決めることができました」「薬膳の学校選びや勉強法を参考にさせてもらっています」「早寝をするように気をつけてます」「影響されてツイッターも始めました」など、とてもうれしく思っています。
面白かったのは、以前スクーリング(実習)で「ブログをやっています」と言うと「えっ!もしかしてあのナチュごよみの人ですか!?」とびっくりされたこと。その方は、まさかいつも読んでいるブログの書き手が同じクラスにいるとは思わなかったそうです。
さらに面白いことに、薬膳の試験でその方に再会して「ナチュごよみさ〜ん」と声をかけられたのですが、全く別の方が振り返って「えっ!ナチュごよみの方ですか!?私、いつも読んでます!」と、またまたびっくりされて。こんなに身近にブログを読んでくださる人がいるなんて、本当にありがたいです。
この仕事をしていて大変なこと
ライターの仕事をしながら薬膳の勉強もして、家事もして、ブログも書いて…と時間の配分が大変ですね。ムダがないよう、時間を節約しています。でも養生の大切さも知っているので、無理はしないよう気をつけています。
この仕事に対するこだわり
まわりの人が健康&キレイになれるようお手伝いしたいので、より正しく深い知識を身につけたいと思っています。そのステップとして今年、中国薬膳研究会(北京)が認定する国際薬膳師という国際資格を取得しました。自分なりに勉強したので、受かった時は号泣でした。笑 今はさらにその上のステップとして中医学の勉強をしつつ、薬膳の知識を深めています。また日々薬膳の本を読むなどして知識を身につけるようにしています。
この仕事をする際に気を付けていること
情報発信者として責任を持つこと、そしていつも情報のアンテナを張ることです。毎朝新聞を読むことは欠かしませんし、ツイッターで漢方や薬膳の情報を発信している人をフォローしたり、雑誌や本をチェックしたり。常にインプット&アウトプットするようにしています。それと同時に、自分自身が楽しむことを大切にしています。見ている人に明るい空気感を届けたいので、ネガティブなことは書かないよう気をつけています。
世間にこの仕事をアピールする方法
薬膳料理家として活動している人に比べて薬膳ライターはまだまだ少なく、自分に何ができるのか可能性を模索中です。薬膳の魅力を伝える広報的なこともしていきたいのですが、これから薬膳を勉強したいという人のアドバイザー的なことができたらとも思います。薬膳を学ぶ人が増えれば、養生を大切にする人が増え、みんなが元気に過ごすことができますよね。SNSやブログを通じてもっと自分の活動フィールドを広げていきたいなと思っています。
仕事とプライベートの両立で工夫していること
平日はテレビを見ない・ダラダラしないと決めて、スケジュールをこなすようにしています。その代わり、土日の夜は好きなお酒を飲みながら家族でテレビを見て、ゆったりのんびりしています。土日のダラダラ家族の時間は私の元気の素。リセットして、また週明けからがんばる…フリーランスなのでメリハリが大事だなと思っています。
日常生活で意識していること
「なるべく早く寝ること」です。薬膳理論のもとになっている中医学では、夜に起きていると血を消耗すると考えます。血を消耗すると健康によくないほか、髪や肌といった美容面にも影響するので、22時〜23時には寝るように気をつけています。小学生の子どもと一緒に21時ぐらいに寝てしまうこともあります。笑 その代わり朝は早く起きて、早朝ランニングや朝勉強をしています。
この仕事で最近特に力を入れていること
主人と息子が庭で野菜を育てているので、とれたての野菜でかんたん薬膳を作っています。新鮮な野菜は旬のパワーがあるので、シンプル料理でもすごくおいしいんです。主人は陶芸家をしているので、主人のうつわに私の作った薬膳を盛り付けています。プラスチックのうつわより、土のうつわに入れた方が何倍も美味しそうに見えるんですよ。手抜き料理でもランクアップして見えるので、ぜひうつわにこだわってみて!とおすすめしたいです。シンプル薬膳の魅力とともに、うつわの魅力もお届けできたらいいなと思います。
この仕事以外で最近夢中なこと
学生時代にバックパッカーをしていたので旅が好きなんですが、漫画のキングダムにハマっているのもあって、中国のいろいろな名所に行ってみたいです。中医学や薬膳の本場を体感したいですね。今は無理ですが、いつか行くことができたら、本場料理や食材のレポを書きたいです。
今後の目標を教えてください。
薬膳は「難しい・おいしくない」というイメージが何となくありますが、実は日常にも取り入れやすい部分もたくさんあります。体のバランスをととのえることで病気を未然に防ぎ、元気に生きる知恵が詰まっています。その魅力を多くの人に伝えていきたいですし、薬膳を学ぶきっかけ作りができればいいなと思っています。
今後は薬膳・中医学の知識を深めていくのはもちろん、発酵食品やスパイスなども勉強したいですし、京都の薬膳を盛り上げる活動もしてみたいですね。
おすすめの養生方法
美容と健康のために、京都の漢方薬局「駅前漢方ごじょう」の荒木先生に、いつも漢方薬をお願いしています。中医学では「病気になる前に体調をととのえる」という考え方があり、それが美容にもつながると考えます。かかりつけの漢方薬局があると、いろいろな相談ができて心強いですよ。特に女性の悩みには漢方がよく効くのでおすすめです。
おすすめ薬膳レシピ
「白きくらげの潤いスイーツ」
中国では美肌食材としておなじみの白きくらげ。楊貴妃や西太后もよく食べたといわれ、特に乾燥の時期におすすめです。作り方は簡単で、水で戻した白きくらげ、氷砂糖、なつめを鍋でことこと煮るだけ。コツは、じっくりトロトロになるまで煮ること。潤い効果がアップします。白きくらげは専門店やネットで手に入ります。
活動内容
薬膳ライターとして活動しています
ゼロから薬膳を学び始め国際薬膳師資格を取得した経験を生かし、初心者にも分かりやすい薬膳ブログ「ナチュごよみ」を運営。資格取得について、日々の養生、レシピなど、さまざまな記事を配信中。
プロフィール
キョウ(黒川京子)くろかわ きょうこ
販促広告会社コピーライターを経て、フリーランスのコピーライターとして独立。食やファッションのライティングに携わる一方、国際薬膳師資格を持つ薬膳ライター、また薬機法コピーライターとしても活動中。
ブログ「ナチュごよみ」を運営。
Twitter@natugoyomi
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